日本近代彫刻育ての親 清水多嘉示の作品展 沼津で (過去記事)

民間交流で実現 長野・八ヶ岳美術館から・・・・門外不出作品も

ロダンの弟子ブルデルに彫刻を学び、日本の近代彫刻の育ての親とされる彫刻家清水多嘉示さん(明治30年~昭和56年)の作品が13日から12月5日まで、沼津市大岡の民間文化交流施設「コーロ・グランデ」(稲葉泰樹さん運営)で展示される。作品を収蔵している出身地・長野県原村の八ヶ岳美術館と、清水さんの遺族が特別出品に応じ、民間文化交流として作品展示が実現した。


展示するのは、八ヶ岳美術館所蔵のリトグラフやデッサン、油彩画と彫刻の小品など十数点。清水さんの代表作の一つとされ、東京・上野の野外彫刻として戦後の復興期に明るいイメージを与えた「みどりのリズム」のオリジナルや、清水さんがずっと手元に置いたフランス時代の「青いローブの少女」など”門外不出”の貴重な作品も含まれている。清水さんの二女岩崎恵子さんと夫の健二さん夫妻=東京在住=が快く出品に協力した。

橋渡し役は沼津市出身の建築家佐山慎英さん(44)。原村とは都市計画の関係で縁があり、今春「コーロ・グランデ」を私費で建設・開館した稲葉さんは中学時代の恩師。原村も戸田村と姉妹都市にあることから、稲葉さんの「文化を育てたい」という趣旨に理解を示した。佐山さんは「作品を貸してくれた人たちの善意にこたえるためにも、できるだけ多くのこどもたちに優れた作品を鑑賞してほしい」と学校などに呼び掛けている。

清水さんの仕事を支えてきた岩崎健二さん(64)は「武骨で素朴な作品が特徴。小学校の先生にほめられたのが彫刻への第一歩。たくさんの人に見てもらって、その中から啓発されるものがあれば、協力したかいがある」と期待している。

「平面サイドからの清水多嘉示展」は入場無料(月曜休館)。開場は午前10時から午後7時。問い合わせはコーロ・グランデ<電話0559-29-0569>へ。

静岡新聞 ふるさと東部 1999年11月掲載

Posted by corocoro